ぬくもりをもう一度
「綺麗……」


煌びやかに輝くその姿に、

香澄は目を潤ませる。


「流行遅れかもしれないけど、

 どうしてもこっちに来たかったんだ」


手をギュッと握り締めながら、

俺がぽつりと呟く。


そんな俺の言葉に、

香澄は首を横に振った。


「私もずっと前から、

 亨くんと東京タワーに来たかった」


香澄の言葉が、

俺の心をじんわりと温かく

満たしてくれる。


ライトアップされた東京タワーが、

俺たちを迎えてくれているようだ。


「上、行こうか」


「うん」


俺たちはふわりと微笑み合って、

ゆっくり歩き始めた。





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