ぬくもりをもう一度
それは、小さな一粒の

ダイヤが輝く指輪だ。


「手、貸して」


俺の言葉に、香澄が

頬を赤らめながら左手を差し出す。


華奢で壊れてしまいそうなほど

綺麗な薬指に、

その指輪をそっとつけた。


学生の頃の遠い記憶を辿って

購入したそれは、

香澄の指に吸い込まれるように

ぴたりと入った。


ダイヤが香澄に反応するように

輝きを増しキラキラしている。


「俺と、結婚しよう」




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