ぬくもりをもう一度
運命の悪戯
大学の最寄り駅から程近い、

でも表通りを一本入ったところにある

静かな場所にある、

カラオケ店に俺たちは入った。


あの時―――


郁哉に別れを告げて

思わず握った香澄の手。


香澄は嫌がることなく

俺を受け入れてくれたことが、

素直に嬉しかった。


まるであの頃に

戻ったような感覚でいた俺は、

なんのためらいもなく

手をとったのだけれど、

握った瞬間に焦りを感じ

心臓がドクンと大きく音を立てた。


『香澄に拒否されたら、どうしよう』と。






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