先輩とあたし。
「手とか感覚ないし。ほら」
と言って亮太くんはあたしの左の頬に亮太くんの右手が触れた。
あたしの頬もそれなりに冷たいけど、亮太くんの手はもっと冷たかった。
『冷たー!!あたし、手はあったかいよ』
そう言ってあたしは右手を差し出して、亮太くんの右手を握った。
「あったか」
『でしょー?心が冷たいから(笑)』
そう言ってあたしは亮太くんの手を離した。
「愛李は心冷たくないやん」
『いやいや、冷たいよ?』
「冷たくない(笑)それよりさ、時間大丈夫?」
『うん、たぶん』
チラッてケータイを見ると9時と表示されていた。
あたしはケータイの電源をおとした。
誰かに、亮太くんとの時間を邪魔されたくなかったから。