先輩とあたし。
キーコキーコっていう音を響かせながらも前後にゆれるブランコ。
冷たい風があたしの顔をかすめる。
あたしはこぐのをやめて、どんどん小さいゆれになっていく。
そして階段をのぼってきた亮太くんが見えた。
「おはよー」
『おはよ』
そう挨拶しながらベンチに座った。
亮太くんがドサッと鞄を置いてあけた。
「はい」
あたしも鞄をあけて、借りていた本を返しまた新しい本を借りた。
「あれ、6巻がない」
『え、うそー』
がさごそと鞄のなかを探している亮太くん。
「ちょ、ごめん。家に置いてきたかも。とってくるわ」
『おっけ』
亮太くんは鞄を持って、階段を下りて姿が見えなくなるまで見ていた。