先輩とあたし。
凪瑠と真帆と眞希と佐波と一緒に昇降口にむかう階段を下りているときに、下から亮太くんがのぼってきた。
きっと職員室から鍵をとってきたんだろうな。
相変わらず亮太くんと目があった------けど、亮太くんはすれ違う前にふいっと視線をそらした。
階段は狭いから良くて3人がぎりぎり通れるほどだから、あたしの肩と亮太くんの肩が少しぶつかった。
あたしは肩がぶつかった恥ずかしさよりも、驚きと苦しい感情が同時に襲ってきた。
今までそんなことしたことなかったのに…。
今まで視線をすれ違う前までそらされたことなんてなかったのに…。
じゃあもう…葉月とつきあっちゃったってこと…?
そんな態度するなんて…、もう葉月とうまくいっちゃったの…?
あたしはどんどん視界が歪んできて、ついにはこぼれてしまった。
『もー、やだ…』
あたしはそう小さく呟いた。