先輩とあたし。

なんだかその言葉だけで嬉しかった。

亮太くんの好きなものを聴いて、あたしも好きになれて共感できるって嬉しいこと。

亮太くんには言ってないけど、あたし亮太くんにすすめてもらったアヴリルさんとかブリトニーさんのCD買ったんだよ。

いつも聴いてるんだよ。

好きになったんだよ。

卒業を祝う会のBGMでかけるんだよ。

びっくりするかな?嬉しいって思うかな?

そう心の中で呟いても、亮太くんに届くことはない。

「俺、8時30分に帰るって言ったから。あと5分しかない」

『あ、まじで?』

「うん。あ、カイロ返すな」

『あ、うん』

そう言って亮太くんはあたしにカイロを返してからiPodをポケットにしまって、

「ハグしてから帰る?」

爆弾を投げてきた亮太くんだった。

あたしは1回固まって、我にかえったら、

『いいの?』

って少し遠慮気味に言ってみた。

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