先輩とあたし。
「じゃあ帰るか」
『そう、だね…』
あたしと亮太くんは肩が触れあうぐらい近くで階段をおりた。
もうちょっと、もうちょっとだけ遅く、歩くスピードをおとしたかった。
だけど歩いていたらあっという間に、香山公園の外に出てしまった。
あたしは左。亮太くんは右。
もう一緒にいられない。
亮太くんと真正面に向かい合った。
「ん?」
『んーん』
なんて言いながら視線が絡み合う。
170センチの亮太くんを上目づかいで見ていたら、亮太くんはくるっと後ろを向いてしまった。
「もう、あかん。俺、照れ性やから」
って言ってまたあたしとむかいあう亮太くんは少し赤くなっていた。