先輩とあたし。

あたしはがんばって説得して、羅那を吾郎くんのところに送り届けたら、吾郎くんと一緒にいたうっちーと2人きりになってしまった。

たしか真帆と眞希、用事があるから先に帰るねっていってたっけ。

『うっちー、一緒に帰ろ』

「いいですよ。あ、だけど今日なんか左ひざあたりがおかしいから、歩くスピード遅いかも」

なんていってるうっちーの足元を見てみると、傘を杖のかわりにしながらひょこひょこと歩いていた。

なんだかそんなうっちーがおかしくて、つい笑ってしまった。

『うっちー、おじいちゃんみたい』

うっちーから目をはずして、前をむくと、あの分かれ道のところに男子2人、女子3人と人がいた。

そのなかには亮太くんらしき人もいた。

あたしは目が悪いから、人の立ち姿や歩き方、声とかで遠くにいる人を特定するんだけど。

男子の1人が亮太くんの立ち姿にそっくり。

『ねぇ、うっちー。あそこにいる人の中に亮太くんいる?』

どうか、いないっていって。うっちー。

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