先輩とあたし。

だけどそんな願いはすぐに消された。

「あぁ。いるね」

『あたし、あっちから帰る』

あたしはくるりと方向転換して、歩き出そうとしたときにふとある考えが脳裏をよぎった。

もし亮太くんがもうあたしとうっちーが隣で並んでいる姿を見てしまっていたら?

今、いきなり方向転換するなんて怪しすぎる。

あたしは立ち止まって、またうっちーとむきあった。

『やっぱこっちからいく』

うっちーと並んで歩いていると、どんどん亮太くんたちがいるところに近づいていった。

もう、亮太くんはあたしを見ている。

あたしも亮太くんを見ると、1秒、2秒、3秒…と亮太くんと目があってしまった。

亮太くんは今、何を考えている?

あたしのこと最低な女だって思ってる?

あたし、今どんな顔してる?

わからない。わからないよ。

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