先輩とあたし。

たしかに、そうだ。

高校生ってだけでも新しい環境に慣れないといけないし、

新しい人間関係もできてくる。

亮太くんは1年でスタメンとるってはりきってるし、

部活で疲れて帰ってきてそのまま寝るってことも多々あるかもしれない。

あたしが会いたいって思うだけで、亮太くんを余計に疲れさせるのもいやだし。

亮太くんには無理してほしくない、

それがあたしの願い。

あたしがそう考えてるだけでも、佐波は続ける。

「高校に入ったら、こんな狭い真香中よりも新しい出会いが多いんだよ」

『…………』

「高校に入ったら、だれかを好きになる可能性だってあるんだよ」

あたしはなにも言えなかった。

だって、全部本当のことだから。

< 244 / 310 >

この作品をシェア

pagetop