先輩とあたし。
あたしは亮太くんを見ていて、真帆は輝先輩を見ていた。
時々、おもしろいことをしていたりすごいことをしていたり。
笑ったり、驚いたり、感心したり。
あたしと真帆はそれなりに楽しんでいた。
だけど、亮太くんが暴投でキャッチボールの相手、横丸先輩のはるかに上を通り越して、あたしがいるところの真下にある植え込みの木にボールが飛んできた。
横丸先輩はボールをきょろきょろと探してた。
あたしは教えようと思ったけど、横丸先輩とは特別に仲良くないからためらってしまった。
だけどやっぱり困っている様子だったから、あたしは。
『あの!!』
って大きな声で言った。
横丸先輩は顔をあげてあたしのほうを見た。
『そこです!!』
って言ってあたしは真下にある植え込みあたりを指差した。