先輩とあたし。

パイプ椅子に座ってすぐに歌練習が始まった。

国歌と校歌と、全校生徒で歌う、さよなら友よ。

気分がのらないまま歌練習が終わって、

「卒業生入場」

って声が聞こえてきてしまった。

すぐに足音が聞こえてきて、目だけ右にむけると1組の担任が見えた。

ずっと見ていると、亮太くんが歩いてきた。

胸ポケットに白い花がささっていて、より一層卒業式だと感じさせられる。

あたしは亮太くんを目で追いかけるとちょうど、人の頭の隙間あたりで亮太くんが見えた。

一同起立をして卒業式の始まりの挨拶をして国歌を歌ってから、また座った。

「卒業証書授与」

「1組、……」

あたしは亮太くんをずっと見ていると、亮太くんはスッとたった。

どんどんとステージに近づいていく亮太くん。

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