先輩とあたし。

あたしの部屋に佐波が遊びにきたときに、あたしはその噂を知った。

「愛李ー、本読んでいい?」

『いーよ』

佐波はあたしの本棚から1冊、本を取り出して読み始めた。

あたしはベットに寝転がりながら亮太くんとメールをしていた。

本をめくる音とメールを打つ音があたしの部屋に響いた。

「あ、そーいえばさぁ。愛李知ってる?麻里と先輩キスしたのばれて、生徒指導うけたんだってー」

『え、まじでー?』

「まじみたいだよー。麻里がそう言ってたんだもん」

『ちゅーぐらいで生徒指導って、どんだけやねん』

「だよねー。かわいそーだわ。愛李はばれなくてよかったね」

『そーだね。てか麻里の場合はあれでしょ。自分から人に言いすぎたんでしょ』

「あたり。すごいキスしたこと嬉しそうに言ってた」

『あはは(笑)』

あたしは、笑っていながらもなんだかもやもやした気持ちだった。

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