ダイヤモンドの誘惑
・・・

よく目に見えるところに、

恋人たち向けの宝石たちを並べる。

・・・

その中に一つだけ。

・・・

そんな物たちとは、

似つかわしくないジュエリーが一点。

・・・

私はそれを手に取り、

上田さんに見せた。

・・・

「この宝石はなんて言うんですか?

黒いし、一点ものだから、

クリスマスには、合わない気がするんですが」

・・・

すると、

私の言葉に、

上田さんは優しく微笑んだ。

・・・

「それは『オニクス』と言って、

日本語で言えば、黒瑪瑙(くろめのう)

と言う宝石です。

出会いと別れを司る石なんですが、

魔力などが強いとされていまして、

片思いの人が、告白するときの

お守りみたいなものですかね?

辺りはカップルばかりじゃないですから」
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