ダイヤモンドの誘惑
「すみません・・・

これを手に取ってみたいんですが」

ショーケースのジュエリーを一つ指さし、

かすみを見た。

・・・

かすみは微笑み

オレに近づいた。

・・・

ここに来て、

初めてかすみの顔を見た。

・・・

『かすみ』

と言う名前は、

どこにでもあるものだと思っていた。

・・・

しかし、

今この目の前にいるかすみは、

明らかに、昨晩の女だった。

・・・

一夜限りの女だと思っていた女。

・・・

かすみは、

オレが昨晩の『蓮』だと、

気づいていない。
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