冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
ー準ー
『…あぁ、準君?オレ吉水だけど、キミ今どこ?』
突然鳴ったケータイにでて、驚いた。
自分の部屋で、
借りてた洋画のDVDを観てるうちに眠ってしまいそうなところだったこともあるが、
電話の相手が意外過ぎる、
というか、
予想もつかない人だったから。
「ーーえ?吉水?って、あの病院の?」
ぼーっとする頭で、その声の人の姿を思い出す。
紘夜がしばらく入院していた、あの病院の医師。
綺麗な容姿に白衣は似合っていたが、
一見、医者には見えない、あの男だ。