冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
「…実、織…
何か、実織にあったんですか?」
彼がオレのケータイ番号を知るはずがない。
だとしたら、
ツナグのは、
〝実織〟だけ。
『すぐ、出て来れる?今から言う場所まで来てくれないか?』
オレの質問には答えず、
言葉を続ける、吉水さん。
それが、答えだった。
「すぐ行きます!」
そう伝えながら、
オレは部屋のベッドに放り投げたままのライダースジャケットを掴むと、
足早に玄関へ向かった。