冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
ー実織ー
「夕綺さん!夕綺さんっ、しっかりして…しっかりしてよー!」
両手で抑えても、
どんどん傷口から溢れる、夕綺さんの血。
「…なに…騒いで…っく、う………」
夕綺さんは苦しそうな息づかいの中で、
微かに笑った。
でも、
その声は震えていて
その体は震えていて
「夕綺さん、やだ、やだよ…」
その血で、
夕綺さんの白い肌も
私の桜色のドレスも
紅く
紅く
染まっていく。
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ー実織ー