冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
……ーーあぁ…

この雫は自分の涙なのだと、

その時気付いた。




「…っく、う…う、ジュン、兄…
ジュン兄ーー!
紘夜が…紘夜が、いっちゃ、行っちゃったよーー!
どうしよう…どうしようーー」


タガが外れたかのように、

私は
大声で叫び、

泣いた。



思いきり、
泣いて、

叫んだ。




何も出来ない。


こんなに想っているのに、


紘夜を助ける事も、
追いかける事も出来ないの。


どうしたらいいの?


どうしたら、いいの?


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