冷たい雨に咲く紅い花【後篇ーside実織ー】
「……紘夜なら……
さっき、少しだけ……会った…」
うつむき、
小さく、呟くジュン兄の声。
「ーーえ?」
会っ、た……?
「どこ……どこで!?ねぇ、紘夜は、どこ!?」
掴み掛かるように、
ジュン兄のジャケットを両手で引き寄せた。
ズキン!
「ーーぃた!」
力を入れた途端、
肩に走る、もの凄い痛み。
「ダメだよ実織ちゃん、まだ動かないで。
処置が終わってないんだ」
私のすぐそばで、
柔らかい声がした。
そして、ツンと通る消毒薬の匂い。
「吉、水さん……」
「とりあえず、今出来る処置はしたよ。
右肩の擦過銃創はあとでウチの病院でちゃんと手当てしないとダメだね。
首筋の切創は思ったより傷が浅くてよかった。
でも、もう少しずれていたら大変だったよ」
いつの間にか、
傷口を洗われた私の首と右肩は、
白い包帯で覆われていた。
さっき、少しだけ……会った…」
うつむき、
小さく、呟くジュン兄の声。
「ーーえ?」
会っ、た……?
「どこ……どこで!?ねぇ、紘夜は、どこ!?」
掴み掛かるように、
ジュン兄のジャケットを両手で引き寄せた。
ズキン!
「ーーぃた!」
力を入れた途端、
肩に走る、もの凄い痛み。
「ダメだよ実織ちゃん、まだ動かないで。
処置が終わってないんだ」
私のすぐそばで、
柔らかい声がした。
そして、ツンと通る消毒薬の匂い。
「吉、水さん……」
「とりあえず、今出来る処置はしたよ。
右肩の擦過銃創はあとでウチの病院でちゃんと手当てしないとダメだね。
首筋の切創は思ったより傷が浅くてよかった。
でも、もう少しずれていたら大変だったよ」
いつの間にか、
傷口を洗われた私の首と右肩は、
白い包帯で覆われていた。