春 雷
駄菓子屋の店の軒先にビニールで出来た庇(ひさし)がある


雨をしのぐには十分だった


「ツイテないなぁ」


私は恨めしく空を見上げた


雨脚は一秒ごとに勢いを増してきた



その雨の中、こちらに向かって走ってくる人がいた


頭の上に鞄をのせ前かがみで近づくと、そのまま私がいる駄菓子屋に駆け込んできた


男性の顔を見て私は思わずハッと息をのんだ


その人は私の大好きな田島先輩だった

< 3 / 20 >

この作品をシェア

pagetop