先生。
♯step1
体育
「ねー。次何だっけ?数学?」
4月。
あたし、斉木万莉奈は流川中学校に入学したばかりだった。
まだ、中学生活には全然慣れていない。
教科教室が一つ一つあって、
その場所を覚えるのが凄く大変。
「違うー!体育だ!急げ!着替えなきゃー。」
「うっわ、マジか!陸上だよねー。」
「そう。やだなー。ハードル走
とかやったことないし!」
「あんなん皆の前でこけて終わるから。」
「ぶっは!ウケるんだけどー。」
そう。
万莉奈は体育が大の苦手。
体育って何のためにあるの?
将来的に必要じゃなくない?
意味わかんない!
って感じ。
体育スキっていう人が多いけど、
何が楽しいのか万莉奈にはサッパリ
分からなかった。
はぁ…。
やだなぁ~。
「やば!もうすぐチャイム鳴るよ!
急がないと成績下がる!」
「いいよー、別に。万莉奈どーせ
体育どう頑張ったって成績悪いし。」
「その悪い成績がチャイム一つで
もっと悪くなるよ??」
「うっ…。りっちゃんきつーい。」
万莉奈の友達、りっちゃんこと
浜崎里夏が不敵な笑みを浮かべながら
此方を振り返った。
「ほらっ、走ろっ。」
「うんー…。」
校庭に足を踏み入れると同時に
チャイムが鳴った。
キーンコーンカーンコーン
「あっぶなーい。」
「ねー。」
校庭の隅でりっちゃんと喋って
いると、急に後ろから声がした。
「こらー。斉木!浜崎!早くお前らも
校庭走ってこい!3周な。」