先生。


「ホントだよねー。あんなん
跳び越えられないっての。」

「ねっ。」

とか言いつつもやっぱりやらなきゃ
いけない訳で…。

「り、りっちゃん先どーぞっ。」

「えっ、いいよぉ。万莉奈から!」

「やだぁ…。」

「はいっ、行ってら~♪」

「ちょっ、もう…!」

りっちゃんに背中を押され、
スタートラインへ。

スタートラインに立つと、
どんな競技でも緊張しちゃう。

例え練習だとしても。

「よーぅい!」

「ちょっと待っ」

「スタート!」

「もうっ、りっちゃんのバカ!」

変なスタートダッシュをしてとりあえず
ハードルの前まで走ってきた。

どっどーしよ!
えーと、確かこんな風に跳び越えるんだよね。

先生が昨日お手本見せてくれたし。

あの通りにやれば…。

「えいやっ!」

ピョーン

「あれっ?」

あ、何か普通に跳べた。

何だぁ、簡単じゃん。

あたしは楽々最後まで走り切った。

スタート地点に戻るとりっちゃんが
またまた暗い顔をしていた。

「何で跳べんのー…。」

「えっ、意外と簡単だったよ。」

「んなわけないじゃん!やだぁ…。」

おいおい、りっちゃん。
折角友達が跳べたんだから
少しくらい一緒に喜んで
くれたりしてもよくないかい??

でも、りっちゃんには人の喜びを
一緒に嬉しがってる場合じゃなかった。

そんな余裕何処にもないみたい。
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