先生。


「はいっ、りっちゃんも行ってらっしゃい。」

万莉奈はりっちゃんの背中を押した。

そしてスタートラインへ。

「いくよー。よーいスタート!」

りっちゃんは一応走り出したけど
本気で走ってない。

マラソンペースだ。

まぁ、怖いから仕方ないよねー。

ハードルの前まで来たものの、
踏ん切りがつかずそのまま横へ
抜けてしまった。

「あーあ。」

「だっだって怖かったんだもん!」

戻ってきてりっちゃんは大声でそう言った。

「そうだよねー。うーん…。
あっ、中嶋せんせー!!!」

万莉奈はスタートラインの近くに
立っていた中嶋先生に声をかけた。

「んー?どしたー。」

「えっと、りっちゃんがハードル
跳べないんですよ。
何かコツないですか??」

「コツねー。ちょっと浜崎跳んでみて。
あ、ハードルの上じゃなくて、横の所で
いいから。」

「へーい…。」

中嶋先生はりっちゃんに一つ一つ
丁寧に跳び方を教えていた。

そんな姿を万莉奈はぼーっと
見つめてた。

「斉木ー?」

りっちゃんと話を終えた先生が
万莉奈に話しかけてきた。

「はいー?」

「お前なぁ。『はいー?』じゃねぇだろー。
早く斉木もやりなさい。」

中嶋先生はイタズラっぽく
笑いながら言った。

ははっ。
先生笑い方可愛いー。

声に出して言っちゃいたかったけど
一応相手は先生だしやめといた。

成績…
これ以上下がったら不味いしね。

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