青空バスケ―番外編―
「……ふぅ」
何とか配り終えたあたしはクタクタになりながら壁にもたれかかった。
疲れた……。
渡すだけなのに想像以上に疲れた……。
「岬、お疲れ」
「蓮ちゃん。
あ……蓮ちゃんにはまだ渡してなかったよね、はい」
「サンキュ……それはそうとさ、岬」
「ん?」
「大和には……渡したの?」
「あ……」
……蓮ちゃんの言葉に、あたしは力なく首を横に振った。
「……やっぱり」
「やっぱりって……?」
「……………。
……大和、不機嫌だった」
「不機嫌?」
「そ。アイツ、分かりやすいから」
……あたしが大和にだけ渡してないから?
……でも、大和のは他の人とは違うから……一緒に渡せなかった。
……けどやっぱり……今年も“義理”として渡すしかないのかな。
……無理だもん。
今のあたしには……この想いを告げることなんてできない。