青空バスケ―番外編―

部室へ入ると、大和以外はもう誰もいなかった。

大和はこちらに背を向けたまま、カバンに荷物を詰めていた。


「大和……」

「……何?」


あたしが声をかけると、大和は振り返らずに冷たくそう返してきた。


「あの……」


……無言でカバンのファスナーを閉める大和。

そのまま肩にカバンをかけて立ちあがった。


「俺、もう帰るけど」


……怒ってる。

蓮ちゃんの言う通り、不機嫌。

でも、あたし……気になる。


「………んで………」

「は?」

「……何で誰からも貰わなかったの?」


あたしがそう聞くと、大和は物凄く驚いた顔をしていた。


「おまっ……何でそれ…………蓮か」


アイツ……と大和がブツブツ言う。

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