青空バスケ―番外編―
なぜか先輩達と蓮ちゃんが入口に立っていた。
「帰ったんじゃなかったんですか?」
あたしが首を傾げながら聞くと、鳴瀬先輩が苦笑いしながら口を開いた。
「帰ろうと思ったんだけど、玲が……」
「愁だってノリノリだっただろうが」
「面白いものが見れると思ってねー、残ってたんだよー」
面白いもの……?
すると、あたしの後ろから大和が何か焦ったような様子でやってきた。
「せ、先輩達……。
……まさかずっと……」
「よかったな、大和。
ようやく貰えて」
「南雲先輩!」
「たとえ義理だったとしても、好きな人から貰えた俺は勝ち組……ってことか」
「れ、蓮!」
「え?蓮ちゃん、好きな人から貰ったの?」
「ん?いや、俺じゃなくて……」
「蓮、もういいから!!
栞奈、早くしないとマジで置いて帰るからな!」
「え、ちょっと待ってよ!!」
結局、何も伝えられなかった。
でも……なぜか今年はそれでもいいって思えた。
何でかな……。
分からないけど……
「大和、待っててば!」
「あー、分かったから。
走るな、転ぶから」
大和があたしに笑顔を向けてくれるから、
何だかんだ言って、いつもあたしの歩幅に合わせてくれるから、
そういうことが全部改めて実感できたから……
それだけで……あたしは十分幸せ者だと思えたのです。
―fin―