青空バスケ―番外編―
アイツに絡まれてたせいで、空はすっかり夕焼けに染まっていた。
「……つーか、アイツ誰だったの?」
どこの誰かも分からなかったんだけど……。
「え?
んー……分かんない」
「……はい?」
まさかの栞奈の答えに俺は思わず足を止めた。
「分かんないって、お前……」
「廊下歩いてたら急に話しかけられたの。
電子辞書持ってないかって。
困ってたみたいだから、貸してあげたんだ。
あ、でも経済学部みたいだよ」
この子は名前すら知らない奴に物を貸したのか……。
「あれ……でも何であの人、あたしの名前知ってたんだろ……」
言った覚えはないんだけど……と少し考え始める栞奈。
それは多分……元々アイツが栞奈に狙いを定めてたからだと思うけど。
本当……危なっかしい。