KEEPER 世界を守るということ
「目が覚めた?」

背後から声がした。
驚いて振り返ると、
同じ年くらいの女が立っていた。

整った顔…

俺はそのとき、
自分の背後に人がいたことに驚く前に、
その女の整った顔とスタイルにおどろいてしまった。

立ち上がり、
頭のてっぺんから爪先まで、
今思えばかなり不躾な目で見てしまった。

身長は170㎝の俺より少し低い。
黒くて真っ直ぐな長い髪が風でわずかになびいている。
白いキャミソールのワンピースを着ている。
肌の色も同じくらい白い。
印象的な整った顔。
少しつり目気味だが丸い大きな目。
薄い唇。小さな鼻。
右目の目尻に泣き黒子が2つ。


「…ここのもんはみんな白くて綺麗なんだな」

思ったことを口にすると、
女は一瞬、は?という顔をしたあと、
けらけらと笑い出した。

「ここに来て初めて会った人に、
一番最初に聞くのがそれ?
もっと聞くことあるでしょ!
おもしろいね、あんた」

いやいや、ほんとに思ったんだよ?
もちろん誉め言葉のつもりで。
俺言葉のセンスないかな?


「おっ!起きたんだ」

今度は前から声がした。
また振り返ると、
背の高い男がこちらに歩いてきた。


少し異国の血が入っているのか、
独特の顔つきだが美しい顔の男。
ホリが深くて鼻筋が通っている。
茶色くて天然パーマっぽい短髪。
目は灰色でまつげは茶色。
筋肉はあまりついていない、
太陽に当たらずに育ちましたというような真っ白な肌。
この言葉を男に使うのは俺の人生で初めてだ。

「…綺麗」

「はっ?」

やっぱり、俺には言葉のセンスがないのかも。
いや、人とずれてんのか。
とにかくその綺麗な男は俺の言葉に驚いたようだった。
そして吹き出した。

「うわ、出会い頭にそんなこと言われたの初めて!
なんだこいつ、おもしろ!」

お腹を抱えて笑っていた。

「そっ、そんなに笑わなくてもいいじゃんか!」

「いや、まさかこんな突拍子もないこと言い出すとは思ってなくてさ」

男はヒーヒーいいながら、
涙を拭いた。

「あいつにはなんて言ったの?」

男は俺の後ろにいる女を指して聞いてきた。

「私は真っ白ななんだって」

女は腰に手を当て、
頬を膨らませて言った。
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