戦慄フォルテシモ
俺は初めてこうゆう場所に来たからなんだか落ち着かなかった
『今から何か始まるんですか?』
高瀬はジュースを飲みながら、先ほどの学生達に目を向ける
『みたいよ?…たく、まだ夜の時間じゃねーってのに』
夜の時間?
俺がそれに引っ掛かっていると、高瀬がその答えを言った
『サンセットは夜になるとライブハウスになるんだよ』
--------------ライブハウス?
言われて見れば店内には無数のスピーカーがあって、店の奥にはステージらしきものも存在する
『だからこのお店で働きたいって思ったんだ。なんかわくわくするでしょ?』
高瀬がバイトを楽しみにしている理由が分かった
でもライブハウスって言ってもプロが来る訳じゃないだろうし、どうせ素人のお遊びだろ?
そんなの聞いて何がおもしれーの?
『おい、亮。終わった?』
機材をいじっていた奴以外にもう一人男
こいつはさっきから床に座りこんで一枚の紙を見つめている
『…うん。さっきよりは良くなったかな。なんか音が微妙にずれて聞こえたからさ』
柔らかい物腰で顔もなんか女みたいな奴
『まじ?俺には完璧に聞こえたけど。まぁ、お前が言うんじゃ間違いねーけど』
『おい、鉄。始めるなら始めねーと他の奴らが来るぞ』
店長はそう言って機材のスイッチを入れた
--------キィィィィィン………------
耳に響く不協和音が一瞬店内に響いた