戦慄フォルテシモ
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次の日俺は送っていくとしつこい運転手を振り払い、徒歩で学校に向かっていた
何故か昨日は眠れなかった
例えるなら遠足前夜のような、そんな興奮が体に残っていたからだ
『尚おはよう。朝会うなんて珍しいね』
通学途中に偶然高瀬に会った
当たり前だ
入学してからずっと車通学だったんだから
車は確かに楽だけど、それだけだ
窓から見える景色は風のように通りすぎる
そんなんじゃ綺麗な花さえ見つける事は出来ない
『……なぁ、今日バイトあんの?』
『あるよ。なんで?』
俺は自分でも驚くような事を口走る
『俺も行く』
そして学校が終わった放課後、その言葉通り俺は高瀬のバイト先に行った
『尚が自分から行くなんて。よっぽどサンセットが気に入ったんだね』
そう高瀬に言われたけど、俺が行く理由はそんなんじゃない
なんでか分からねーけど、このまま引き下がる訳にはいかない
俺のちっぽけなプライドに火がついた