戦慄フォルテシモ
サンセットに着くと昨日同様に店長がカウンターに立っていた
今日は通常営業らしく、店内はちゃんとカフェになっていた
『店長、おはようございます』
『お、彩ちゃん。今日も宜しくね』
高瀬はスタッフルームに入りバイトの準備をしに行った
俺はとりあえずカウンター席の隅に座り、なるべく目立たないようにした
『君、昨日も来てくれたよね。彩ちゃんの彼氏?』
そんな俺を見た店長がすかさず声をかけてきた
『……いえ』
俺は目を合わさず、一言だけしか返さなかった
多分何も頼まず一人で座っている俺は迷惑な客だろう
店長には悪いけど、ここに来た目的はカフェでお茶を飲む事じゃない
『……今日はあいつら来ないんすか?』
そう、俺の目的は昨日見たあの2人に会う事
用なんてないけど、ただもう一度あの胸がざわめく感覚を味わいたい
『あいつら?……あぁ、もしかして鉄と亮の事?今日は来ないんじゃない?文化祭の準備で忙しいって言ってたし』
---------は?文化祭?
『昨日弾いた曲も文化祭で披露するらしいよ。なんか体育館のステージでやるって張り切ってし』
あの曲を文化祭で?
俺が言うのも悔しいが物の価値が全くわかってねぇ
高飛車じゃない分、なんか余計にむかついてくる