戦慄フォルテシモ
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その日の夜も俺はなかなか寝付けなかった
結局あの後、下らない雑談ばかりであの音楽は聞けなかった
俺はベッドに横になりながら、あいつらと握手した右手を見つめた
握手した時、あいつらの手には固いまめがいくつも出来てた
何回も潰れて、治って、潰れての繰り返しのようなマメ
その感触が今も手に残っている
俺の周りに居る同い年の奴らとは明らかに違う“何か”
部活をやってる奴
友達が多い奴
毎日楽しそうな奴
そんな奴らを見ても感じなかったこの“差”みたいなのは一体なんだ?
見た目も背丈も同じぐらいなのに、あの2人は全く違う世界で生きている気がして
俺はなんでも持ってるし、なんでも手に入れてきた
この広い部屋には無駄な物はなくて、全部自分で求めたもの
なのに全く興味が湧かないのは、簡単に手に入ったからだ
気にくわない親父の力でなんだって
そんな劣等感を抱えながら、俺は眠くもない目を無理矢理閉じた