戦慄フォルテシモ
『そ、そうなんだ。残念だったね。あんなにいい曲だったのに……』
何故か高瀬が残念そうな顔をしていた
別にたかが文化祭だろ
そんな所で演奏出来なくても残念がる事じゃねーよ
『うん。色んな人に聞いてもらうチャンスだったんだけどね。まぁ、仕方ないよ』
亮はそう言ったけど、顔はやっぱり残念そうだった
確かに音楽は誰かに聞いてもらって価値が上がる
きっとこいつらにとって演奏出来る場所は自分達を知ってもらう場所なんだろう
そんな2人の事を見かねた店長は、ある事を口にした
『……たく、しょうがねーな。特別に文化祭でやる予定だった曲、うちで演奏していいよ』
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その言葉で店の雰囲気が一気に変わった
『え、だって店長の店、ライブハウスは未成年ダメなんじゃなかったっけ?』
サンセットがライブハウスに変わるのは夜
酒も用意するそのばは、勿論未成年は利用出来ない
『お前らが未成年だって言わなきゃいい事だろ』
店長はふーっと煙草の煙をはいて、2人に言い放った
『まじで?店長有り難う!!文化祭よりこっちの方が断然盛り上がる。な、亮?』
鉄の機嫌は風に吹かれたように変わり、むしろいつも以上に張り切っているように見えた
『う、うん。俺達にとっては嬉しい話だけど。……本当にいいの?店長』
店長の返事は勿論、イエス
サンセットのライブハウスは人気があって、演奏したいバンドも沢山居る
急遽決まった2人の演奏は今日の夜に行われる事になった