戦慄フォルテシモ
『んで?今何の話してたの?楽しい話なら俺らも混ぜてよ』
鉄は珍しく俺の横に座り、出された水を口に入れた
『いや、それがさ……』
言おうとした店長を俺はとっさに睨んだ
言い出したのは俺だけど、まだプランも計画も何も出来てない
それで音楽やるなんて知られたら絶対笑われる
『……尚がね、音楽やりたいんだって』
俺の気持ちを知らず、高瀬があっさりとバラしやがった
--------そうだ。こいつは冗談も通じなければ嘘も付けない真面目女だった
『へぇ、音楽。いいんじゃね?楽しいし』
笑われると思いきや、鉄の反応は意外なものだった
『うん。最初は色々大変だけどね』
亮もこんな俺の話をすんなり受け取っていた
店長は煙草の煙を吐き出しながら、さっき言いかけた言葉の続きを言った
『で?尚はなんか楽器弾けんの?』
何故かみんなの視線が俺に集まり変な緊張に
----------楽器?今まで触れた楽器と言えば……
『……ピ、ピアノなら…』
『『『ピアノ!?』』』
打ち合わせでもしたかのように全員の声が揃った