戦慄フォルテシモ



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それから数日が経ち、俺は今日も音楽室にいた


近くにメトロノームを置いて叩くスピードを速める練習をしてるけど、まだ手が追い付かない




『…………なに笑ってんだよ?』


集中したいのに視界にある人物がチラチラ目に入る

俺の方をジーッと見つめ、ニヤニヤと高瀬が微笑んでいるからだ




『ふふ、尚が欲しかったものはこれでしょ?』


俺が夢中にドラムをやる姿を見て、高瀬がそんな事を言った



--------俺の欲しかったもの?


自分の手のひらを見ると、スティックを握る度に出来るマメがいくつも出来ていた



そうか、俺はこれが欲しかった


無我夢中で必死になって何かを追いかける感覚


成功も失敗も自分次第で、努力しなければ手に入らない


俺は多分、このわくわく感がずっと欲しかったんだ





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