戦慄フォルテシモ
---------カランッカラン。
暫くしてサンセットのドアが開いた。それは勿論、亮と鉄
『あ、いらっしゃい。二人とも』
高瀬のテンションが妙に上がる。俺はそれを呆れた顔で見ていた
『お、もう来てたんだ。そう言えばこの前の曲だけどさ』
鉄も最近じゃ、俺をまともに扱ってくれるようになった
喧嘩はしょっちゅうするけど、一応同じバンドの仲間だって認めたって事か?
『お前らの目から見て尚はどうなの?俺はまだ一度もドラムやってる所見た事ねーけど』
店長が亮と鉄に俺の評価を求めた
つーか、こうゆう話は本人が居ない場所でやれよ
鉄と亮は目を合わせて同じ事を口にした
『……まだまだかな』
----------だろうな。まぁ、自分でも分かってるけど
『でも尚は頑張ってるよ。多分、普通の人だったらこの数ヶ月でここまで上達出来ないし』
亮がまたおせっかいな優しさを見せたけど、俺の嫉妬心は大きくなるばかり
普通じゃないのはお前だろ?
俺はただ与えられたものを奏でてるだけだけど、亮は違う
作詞、作曲はもちろん俺達が弾く楽譜の譜面も亮が書いている
それぞれのパート部分まで計算して曲を作るなんて、絶対普通じゃ出来ねーよ