赤い月 肆

うぁ…

そのセリフ聞くの、本日二回目デスヨ。

スゲぇバカになった気分…

いやいや、待て待て。

え…

俺デスカ?


「俺、ナニしたの?」


「妾に名を与えたではないか。」


わけがわからず目を瞬かせる景時を見つめ、うさぎが可笑しそうに笑う。


「名とは呪。
名を与えるという事は、何物でもない存在に実体を与えるという事じゃ。
それ故、縛る事も操る事も可能となる。」


あー…

わかるわー。
ヤられたもんなー…


「だが実体を持つという事は、世に存在を認められるという事でもあるのじゃ。
ただ『在る』命ではなく、『生きる』命を授ける行為。
そなたが妾に名を授けた。
妾を生かしたのじゃ。」


「‥‥‥‥‥‥マジデスカ。」


景時は片手で顔を覆い、俯いた。

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