赤い月 肆
ちゃんと終わろ?
『やっと電話出てくれた…
ねぇ、お願い… 寂しいの…』
「ね。
俺、深雪さんに聞きたいコト」
『今から、すぐ来て?』
「もう、そーゆーのはナシって言ったでショ?
それより今日」
『来てくれるなら、なんでも話す。
他にも、なんでもしてあげるから…
ね?』
「…」
仕事の後、深雪から景時に着信があった。
実は今夜だけではない。
ブルースの極意を極めたあの夜から頻繁に。
何度も何度も。
なるべく出ないようにして、メールで断っていた。
何度も何度も。
いい機会かもしれない。
もう本当に終わりにしよう。
携帯越しではなく、ちゃんと顔を見て、終わりにしよう。
「…行くよ。」
そして今、景時は通い慣れた深雪の部屋のインターホンを押した。