赤い月 肆
どーしよーもない男でも
覚悟の上だったとはいえ、恋の終わりは悲しいモンで。
それはどんなカタチの恋でも。
たとえ慰め合うだけの、偽装恋愛でも。
酷い顔をしていつもより遅く帰った景時を、うさぎはただ黙って抱きしめた。
ナニも聞かないまま。
ナニも知らないまま。
それでも抱きしめてくれた。
うさぎの細い腰に縋りついたまま、ソファーの上で眠りにつく。
(ごめん、うさぎ。
ごめん、深雪さん。)
サイテーだ。
深雪を傷つけて。
うさぎに癒しを求めて。
お互い遊びだ、なんて言い訳しながらテキトーな関係を繰り返し、たくさんの誰かを泣かせてきたのかもしれない。
どーしよーもない、サイテー野郎だ。
それでも。
サイテーで勝手で卑怯で、どーしよーもない男でも。
(もう間違えないから。
もう君だけだから。
君が好き。
君が好き。
君が…
うさぎ…)