赤い月 肆
「薫ちゃーん?
男の寝笑いはキモいよー?」
「オメェにゃ負けるケドな?」
身を起こした薫が、笑いを堪えたような顔で振り返った。
「治ンねぇな、ソレ。
心配性っつーか、ストーカー癖っつーか。
うさぎサマ、もう勝手にドッカ行かねぇンじゃなかったのか?」
「そーゆー心配じゃなくて…」
景時は両手で頬杖をついて、溶けるほど甘く微笑んだ。
「うさちゃんいないと、寂しいダケ。」
「キモっ?!」
薫が顔を引きつらせた。
「景時、もうちょっと慎め。
剥き出しすぎンだろ。」
「イイの。
愛は剥き出してナンボで…」
唇を尖らせて反論しようとした景時の表情が、急に引き締まった。
感じる‥‥‥
剥き出しの、鬼気だ。