赤い月 肆
あの人は… 鬼神だ
体育館シューズは、バスケットゴールの下に置き去りにされていた。
「あった、あった。」
「早く戻ろ?
ホームルーム始まっちゃ…
あ。」
小鞠が、一つだけ寂しそうに転がる、しまい忘れられたボールに気づいた。
うさぎが小鞠の視線の先のボールに歩み寄り、両手で拾い上げる。
「何処に片付ける?」
「イイよ、イイよ。
私がやっとくから。
うさぎちゃんと祥子ちゃんは、先に戻って?」
「イイじゃーん、ちょっとくらい遅れても。
なんなら、ホームルームくらいサボっちゃっても?」
ダメだよー、なんて嬉しそうに笑いながら、小鞠が体育館の隅にある体育用具室の鍵を開けた。
うさぎと祥子もそちらに向かう。
入り口とは反対側の、体育館の隅に‥‥‥