赤い月 肆
お日さまのような人
オニは消えていた。
青い炎も消えていた。
扉は吹っ飛んでいるものの、ソコはいつもと変わらぬ体育館。
なのに…
薫は慌てて目を背けた。
祥子は口を大きく開けて硬直した。
小鞠は悲鳴を上げて両手で顔を覆った。
体育館の中央辺りに向かい合わせに立つ、景時とうさぎ。
景時がうさぎのブラウスの襟に手をかけ、その胸元を大きくはだけさせ、白く眩しい肩を露に…
祥子が地を蹴って駆け出した。
その勢いのまま…
「死ねぇ、変態ぃぃぃぃぃ!!」
「グハっっ」
景時の腰に、飛び蹴りを炸裂させた。
不意討ちを食らって床に転がった景時を憤然と見下ろした祥子が、うさぎを庇うように仁王立ちして腕を組む。
「真っ昼間っから学校でサカってンじゃねーゾ!!
このエロ杉が!!!」