赤い月 肆

(俺の‥‥‥ 女神‥‥‥)


景時は羽織っていただけのYシャツを脱ぎ、赤いインナー姿になって立ち上がった。

転がって笑ううさぎに歩み寄り、ソレで彼女を包み込んでそのまま抱え上げる。


「ちょ…
姐御の一人占め反対ー!」


眉を吊り上げた祥子が座ったままローキックを繰り出すが、景時は今度はヒョイと片足を上げて躱した。


「とりあえず、ココ出なきゃ。
…俺ン家、来る?」


景時は大人しく抱かれたままのうさぎに優しい視線を向けてから、祥子と小鞠にヘラっと笑いかけた。


「うさちゃんは俺のだケド…
ちょっとダケなら、分けたげる。」


ナニ、ソレ、オメェのじゃねーよ!と、拳を振り回して追いかけてくる祥子から、景時は逃げる。

笑いながら逃げ回る。

本当は一人占めしたいけど、閉じ込めておくには眩しすぎる光を抱えたまま…

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