赤い月 肆

入る前は確かに鍵がかかっていたし、体育館にはうさぎ、祥子、小鞠の他には誰もいなかった。

三体のオニは、なんの前触れもなく突然現れた。

逃げようとした時には、体育館の扉は開かなくなっていた。


「閉じ込められたのカモ。
鍵は開いてたから…」


「絶対、外になんか仕掛けられてたンだよ!
やったヤツ、ブっ殺す!!」


「実はソレなんだケド…」


不安そうな小鞠と、物騒なコトを言って怒る祥子に、秋時が神妙な顔つきで問い掛けた。


「閉じ込められるような、心当たりはあるかい?」


「ナニカ見つかったの?」


二人が口を開く前に、景時が鋭く問うた。


「…
壊れた扉と一緒に、柄が折れたグランド整備用のトンボが転がってた。
アレなら、開閉出来ないような細工もできンだろ。
鉄製だし、うさちゃんがいなきゃ出られなかったはずだ。」

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