赤い月 肆

「で?
なんの話だ?」


景時が玄関で薫と三人を見送ってリビングに戻ると、ダイニングチェアに腰掛けた秋時が腕を組んで眉根を寄せていた。


「こりゃ…だいぶ厄介だぞ。
なんかあンなら、全部吐け。」


厄介。
そんな言葉じゃ軽すぎる事態だ。

『闇』の気配も鬼気もなく、突如として現れるオニ。

人間の力では開けられないように封じられた扉。

偶然でなければ、狙われたのだ。

ナニを?

命を。

誰の‥‥‥?


「うさぎ、片付けはイイから。
ちょっと座って?」


景時が呼ぶと、シュシュで結った長い髪をほどきながら、うさぎがキッチンから出てくる。

景時は彼女の手を取って白いソファーに導き、自分もその隣に腰を下ろした。

< 158 / 265 >

この作品をシェア

pagetop