赤い月 肆
「で?
なんの話だ?」
景時が玄関で薫と三人を見送ってリビングに戻ると、ダイニングチェアに腰掛けた秋時が腕を組んで眉根を寄せていた。
「こりゃ…だいぶ厄介だぞ。
なんかあンなら、全部吐け。」
厄介。
そんな言葉じゃ軽すぎる事態だ。
『闇』の気配も鬼気もなく、突如として現れるオニ。
人間の力では開けられないように封じられた扉。
偶然でなければ、狙われたのだ。
ナニを?
命を。
誰の‥‥‥?
「うさぎ、片付けはイイから。
ちょっと座って?」
景時が呼ぶと、シュシュで結った長い髪をほどきながら、うさぎがキッチンから出てくる。
景時は彼女の手を取って白いソファーに導き、自分もその隣に腰を下ろした。