赤い月 肆

「元々、俺がうさちゃんの優しさにつけ込んで始まった関係なンだよねー。
俺がとんでもねーバカやっちゃってうさちゃんとは気まずいし、ココに縛りつけとく方法も思いつかないし。
だけど、諦めるくらいなら死ねるほど好きだし…
もー、八方塞がりすぎてウケる。」


ナプキンに視線を落としたまま景時は笑ったが、誰も一緒に笑ってくれない。

重い沈黙。

てか、重いのは俺か。

こんな時こそ『阿呆』って言う、うさぎの声が聞きたい。

なのにアレ以来うさぎは、いつも心配そうにしている。
気遣うように接してくる。


「じゃ…
うさぎちゃん、このままドコかに行っちゃうの…?」


栗色の髪を神経質そうに弄っていた小鞠が、小さく呟いた。

俺も知りたいよ。

今、ナニ考えてるの?
アイツのトコ、行っちゃうの?
俺のコト、嫌になった?

話したい。

うさぎの声が聞きたいよ…

< 16 / 265 >

この作品をシェア

pagetop