赤い月 肆
「元々、俺がうさちゃんの優しさにつけ込んで始まった関係なンだよねー。
俺がとんでもねーバカやっちゃってうさちゃんとは気まずいし、ココに縛りつけとく方法も思いつかないし。
だけど、諦めるくらいなら死ねるほど好きだし…
もー、八方塞がりすぎてウケる。」
ナプキンに視線を落としたまま景時は笑ったが、誰も一緒に笑ってくれない。
重い沈黙。
てか、重いのは俺か。
こんな時こそ『阿呆』って言う、うさぎの声が聞きたい。
なのにアレ以来うさぎは、いつも心配そうにしている。
気遣うように接してくる。
「じゃ…
うさぎちゃん、このままドコかに行っちゃうの…?」
栗色の髪を神経質そうに弄っていた小鞠が、小さく呟いた。
俺も知りたいよ。
今、ナニ考えてるの?
アイツのトコ、行っちゃうの?
俺のコト、嫌になった?
話したい。
うさぎの声が聞きたいよ…