赤い月 肆

隣に座るうさぎが景時の胸に白い手を当て、自分から華奢な身体を預けてきたのだ。


(ナニ、コレ、ナニ、コレ?!)


いつも、くっつくのも抱きつくのも、俺からなのに?

うさぎからくっついてくるコトなんてないのに?

首が柔らかい髪で擽られる。
鎖骨の辺りに吐息を感じる。

ヤバい。
心臓ヤバい。

殺る気か?
そーなのか?

こんな殺害方法なら、何回死んでもイイ…

いやいや。
他にも色々ヤバくなってきたよ?

フラッシュバックする、あの感触。

目が眩むような、あの快感。

もう一度…
いや、何度でも、欲しい…

硬直する腕をなんとか持ち上げて、細い肩を抱く。

ギギギと音を鳴らしながら首を傾け、もう片方の手を彼女の顎にかけようとして…

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