赤い月 肆
景時はうさぎの肩を握る手に、力を込めた。
「景時。
妾はそなたが信じる者を、共に信じよう。」
「…
ありがとう…」
君はわかっているのかな。
自分の命が狙われたかも知れないのに、自分の命を狙ったかも知れない深雪さんの心配ばかりしてるコト。
状況的には限りなく黒なのに、深雪さんを疑いきれない俺を救ったコト。
君はわかってないのかな。
他人にばかり優しくして、自分を大事にしていないコト。
誰かのために微笑んでばかりで、自分のために涙を流せていないコト。
いつか、君の哀しみを吐き出させてあげたい。
いつか、君を救ってあげたい。
いつか、君が涙を流せる場所になりたい。
傍にいて?
傍にいるから。
あの月よりも、君の近くに。